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内需循環型経済(6)

2011.02.12(15:36) 41

                    内需循環型経済(6)

 食料やエネルギを輸入に頼る経済から自給型経済に変換し、それに関連した産業で内需循環型経済を実現しようという趣旨の提案をしてきました。

 その可能性について、まず自給型エネルギーについて考えてみたいと思います。現代はインターネットを利用すれば必要な情報はほとんど手に入るので、それをただ集めて再録するだけでは意味がありません。ここでは上記テーマに焦点を合わせて情報を整理統合し、新しい意味を発見したいと思います。個々の詳しい技術についてはそれぞれの情報をインターネットで調べて下さい。

 エネルギー源に関しては多くのものが考えられますが、その中でもここではいわゆる再生可能エネルギーに限定して話を進めます。 再生可能エネルギー( renewable energy )とは、国際エネルギー機関の定義によると、「比較的短期間に自発的に定常的に再生される自然現象に由来する、極めて長期間にわたり枯渇しないエネルギー源(またはそこから発生するエネルギーそのもの)を指す」とあります。この定義に従うと、現実にもっとも実用化されているのは風力と太陽光でしょう。

 風力は十分な風力の得られる地域が限られるので、より普遍的に利用出来る太陽光を考えてみたいと思います。NEDO の計算によると、ゴビ砂漠の半分に現在市販されている太陽電池を敷き詰めれば、全人類のエネルギー需要量に匹敵する発電量が得られるそうです。そうすれば副産物として日陰がかなり確保されるので砂漠の緑化が実現出来るかもしれません。さてゴビ砂漠は横に置いておき、現在の太陽電池の効率が更に向上し、コストが下がり、社会的法制度が確立されれば爆発的に普及すると思われます。

 太陽光発電の重要な特徴は分散型発電が可能になるということです。つまり個々の家庭で発電し、利用し、売却できるということです。そのためには余剰電力の全量買取制度が必要でしょう。この制度はドイツのアーヘン市のNPOが世界で初めて提唱して市議会を説得し、反対する電力会社と協議を重ねて実現させたそうです。NPO も市議会も立派な仕事をしたものです。高い議員報酬だけもらってろくな仕事をしないどこかの市議会議員殿とは比べものになりません。
 
 買取制度は各家庭が設置する費用を必ず20年で回収出来るように従来の電気料金にその分を上乗せするという制度です。しかもその電気料金を一般市民が負担するという制度です。ただし、これによる電気代の上昇率は1%以下に抑えるとうい制限を設けています。この問題点は後で論じますが、このような制度で太陽光発電が爆発的にアーヘン市で普及し、それが後にドイツ全体の制度として確立されたそうです。それに伴って太陽電池産業やそれに関連する建設業が繁栄して経済の活性化につながったということです。つまり内需循環型経済が実現したのです。
 
 ところが、折角興った太陽電池産業の倒産が相次ぎました。中国の2割ほど安い太陽電池に食われて倒産する企業が続出したとのことです。中国は労働者を搾取して安い給料でものを作らせ、政府が人為的に設定した安い為替レートで売りまくり、他国の産業を潰してしまうという許せない商売をしているのです。中国人の利己主義がここにも弊害をもたらしています。これがこのシステムを用いて内需循環型経済を実現しようとする場合の一番目の問題点としてあげられます。経済の市場原理ではそれは仕方のないことだ、という意見もあるでしょう。そのためには技術を駆使して中国人の安い労賃をも問題としない、低コストの製品開発に努力しなければならないし、中国製が足下にも及ばない高性能な太陽電池の開発が必要になります。これが可能になれば本当の内需循環型経済が可能になるでしょう。

 二番目の問題は電力コストが高騰すると電力を沢山使う産業が打撃を受けるということです。例えばアルミ製造業はもろにこの影響を受けることになります。この制度を採用する限りは、そのような産業に対する保護特例制度を設けるなどの対策が必要になるでしょう。

 三番目の問題点は電力の供給と需要の時間的変動に依るミスマッチングをどのようにカバーするかということです。このためにはバッテリーを用意したり、電力網を賢く制御する「スマートグリッド」という考え方が提案されていますが、この技術を早く確立しなければならないでしょう。

 二番目と三番目の問題点の解決法は、というより電力買取制度のメタコンセプト的解決策は、設置費用を自分で生産した電力により合理的に、つまり電気代を電気会社に支払う程度の金額で20年で回収出来る低コストで高効率な太陽発電システムの開発ではないでしょうか。

 このような技術で以上の3つの問題を根本的に解決できたら、太陽光発電は更に普及するでしょう。ここで重要なポイントとして私はこう考えます。原子力も風力も潮汐も集中型の電力ですが、これらに対して太陽光発電技術の流れは、クリステンセンのいう「破壊的技術」ではないでしょうか。集中大規模なシステムから、より使い易い、安価で、小規模な分散型に移っていくという技術の流れがここに見て取れます。

 ここまで論じてきて、われわれの社会の将来ビジョンをどのように考えるかが問われていることに気が付きます。私は、未来社会では個々の家庭が自前で再生可能なエネルギをより効率よく生産し、節約し、よりエネルギーを身近に使い易いものに変えていくことが求められていると考えます。個々の家庭が必要なときに必要なだけエネルギーを炭酸ガスを排出しないで自分で作り出せる社会は素晴らしいと考えます。このような技術開発が強く求められるようになり、それに関連した産業が興り内需循環型経済が可能になる社会がビジョンとして描かれますし、それはそう遠い将来ではないような気がします。

 
65cm屈折望遠鏡
国立天文台三鷹にある65cm屈折望遠鏡です
性能はハワイにあるすばる望遠鏡や宇宙にあるハッブル望遠鏡には遠く及ばないので現在は引退しています。当時としては最高の性能でしたが技術は常に進歩するので役目を終える時期があるのは文明の宿命ですね。 

Recsat Hiromu



2011年02月
  1. 内需循環型経済(6)(02/12)