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リーダーシップ(7)

2010.07.26(10:48) 24

                   トータル設計の原理 

 今日のお話は安物買いの銭失い、急がば回れ、楽は必ずしも楽ならず、というお話です。われわれは良く日常で、新しい要求が出てきたときに、既存のものを利用して実現しようとする誘惑にかられます。その方がてっとり早く、安く、簡単にできるからです。しかし、この”既存のもの”ということに大変危険な落とし穴があることを知って頂きたいのです。大きなプロジェクトになればなるほど既存のものを用いると失敗する危険が大きく、しかも失敗したときにその痛手も大きくなることを知っておいて欲しいのです。

 既存のものを利用する設計法(エンジニアリング意外では発想法と読み替えても結構です)に付加設計、組み合わせ設計があります。付加設計とは新しい要求が追加されたときに、その要求を満たすシステムを既存のシステムに付加する設計法です。組み合わせ設計とはいくつもの要求を満たす新しいシステムを作るために、既存のシステムを組み合わせてシステムを実現する方法です。これらの設計法(発想法)で作られるものは、いずれも”既存の”という拘束条件が付いているので、ゼロベースから設計するトータル設計に劣ります。劣るどころか実際に運用したときいろいろなトラブルに見舞われ、時間的にも金銭的にも大変な損失をもたらすことが多々あります。

 トータル設計とは「全ての”既存の”というシステム拘束条件を外して,全ての機能的要求を新たに総合的に最適化を図る設計」です。

 トータル設計を守らないで付加設計や組み合わせ設計して、トラブルに苦しめられたり、性能が不十分だったりした例は近年でも数え切れないほど事例があります。既存の軌道を使って失敗したアメリカの新幹線、オーディオのデジタル化の要求が出てきたときに既存のカセットテープ方式にこだわった松下(パナソニック)とフィリップスがMD方式のソニーの軍門に下った例、第一勧銀、富士銀、興銀が合併してみずほ銀になるときに、醜いなわばり争いでシステムをトータル設計出来ず、それぞれの既存のシステムを生かして、中継コンピューターでつなぐ付加設計をしてATMトラブルで顧客に多大な迷惑を掛けた例はまだ記憶に新しいです。つい最近では日本郵政グループのゆうパックがペリカン便を吸収する付加設計(組み合わせ設計?)をして26万個の遅配を引き起こしました。

 逆にトータル設計して成功した例は、日本の新幹線とか、旧ミノルタの一眼レフカメラのα7000とか、上記ソニーのMDとか、最近ではソニーグループのブルーレイディスクとか、数限りなくあります。

 トータル設計の原理はもっと研究すると、注意すべきことが沢山出てきますが、ここでは省略します。もちろん既存のものを用いても問題ない場合もあります。その説明をするとまた長くなりますので、今回はここで終わりにしたいと思います。将来この原理について本を書きたいと思っております。

最後にまとめとして、この考え方は既に2000年以上前に提案されていました。それは聖書に次のような言葉があります。

「「新しいぶどう酒(新しい機能的要求)は新しい皮袋(新しい設計,トータル設計)に入れるべきである」(マタイ9章17節)
 
 この意味は、新しいぶどう酒は発酵してガスを沢山出しますから、古い革袋(既存のもの)は弱いので、ガスの圧力で簡単に破裂してしまい、美味しいぶどう酒が流れ出てしまうので丈夫な新し革袋に入れるべきですよ、という意味です。このキリストの教えは今も真理です。既存のものを利用する場合には十分注意しましょう。


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Recsat Hiromu



2010年07月
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