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簡単な省エネ対策

2012.03.11(21:08) 69

            簡単で安く綺麗にできる省エネ対策

 今年の冬は例年になく寒いですね。そのためエアコンとか石油ストーブを焚いて部屋を暖めようとするのですがなかなか暖まりません。とくに広い窓のついている部屋は暖まりにくいし、暖まっても暖房を切るとすぐ寒くなります。またもう一つの悩みは結露の多さです。気が付くと窓ガラスがびしょびしょに濡れています。
 
 そこで新しい省エネ対策を試してみました。これが大成功でした。しかも簡単に、安く、見栄えも良くできるのでご紹介します。その方法はホームセンターなどでプチプチシートを買ってきます。90cm×5mで400円しませんでした。それと透明な繰り返し貼れる両面接着テープを買ってきます。これも数100円です。

 この透明な両面テープを用いてこのプチプチシートを窓の室内側に貼るだけです。透明な両面接着テープを使うところが見栄えを良くするポイントです。シートの上側は窓の幅の50%以上を3か所に分けて貼りつけるのがもう一つのポイントです。なぜかというと暖かい空気が上側から入って冷やされて下に抜けてしまうと、シートと窓ガラスの間に結露が生じます。したがってシートの上側をしっかり塞いでやるのがみそです。しかし、幅全部を貼り付ける必要はありません。下側は3か所止めておく程度で大丈夫です。

 出来上ってみると結構プチプチがきれいな模様に見えて見栄えは良く、しかもありがたいことにまったく結露しません。当然ですが断熱効果が高まり部屋がよく暖まります。安くて、綺麗で、しかも省エネ効果が高かったので驚きました。

 掃出し窓などで少しは外の景色が見たいという時は、窓の下半分を貼るだけでも効果があります。ぜひお試しください。

2012/03/14 追記:

 貼り方のポイントですが、貼りつける部分のサイズより2,3㎝大きめにシートを切り取っておき、窓ガラスの方に両面接着テープを予め貼っておき、シートの2辺をピッタリ合わせて張り付けた後、余った部分をカッターナイフで切り取ると綺麗に貼れます。
 南面の窓の場合は上半分は貼らないでおく方が、昼間に陽が射し込んで部屋が暖まる効果が得られますが、断熱効果は少し落ちます。どちらを優先するかは各自の好みによります。

省エネ1

省エネ2

写真では見栄えの良さが分かりにくいのですが参考までに掲載します





 

Recsat Hiromu



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原発の輸出

2011.12.14(22:08) 64

  
                    原発の輸出問題

 参院は9日の本会議で、ヨルダン、ロシア、ベトナム、韓国との原子力協定の国会承認案を、民主、自民両党などの賛成多数で可決、承認しました。4カ国はいずれも承認を終えており、来年1月にも発効します。 
 
 福島原発事故もまだかたづいておらず、事故分析すら出来ていない状態で原発を輸出する扉を開くとは常識では考えられないことです。しかし、4ヶ国は既に国内で承認されているからという理由で、また経済的に大規模な輸出につながるからという理由で結論を下したとしたら危険この上もありません。

 このブログでも何度もエネルギー問題のシリーズで論じてきましたが、原子力発電は本質的に危険なシステムです。つまり事故が起きると多大の被害が発生する本質的に危険なシステムです。絶対事故が起きないという保証はありません。以前のこのブログでも紹介しましたが、絶対沈まないと信じて建造された鉄鋼船のタイタニック号が処女航海で氷山と接触してあえなく沈没して1500余名の人命が失われました。今回は津波が原因でしたがその対策が出来たとしても想定外の事故は必ず起きます。それが40年に1度か来年また起きるか分かりません。技術者の立場からするといくら冗長性(redundancy)をシステムに持たせても絶対安全ということはあり得ないのです。核燃料廃棄物の処理方法ですらまだ技術は確立していないのに廃棄物は日々製造されています。

 今回の件は官僚が自分の所属する省庁の都合だけを考えた価値基準から結論をだしており、それに技術的な思想も哲学もない民主党や自民党の政治家が不用意に同調しているとしか言いようがありません。官僚の部分最適思考で動かされる政治家にうんざりします。

 国内で新規の原発が建設できないからこのままでは原発関連の技術の進歩が止まってしまうとか、原発1基の輸出額は数千億円規模になるから経済効果が大きいとかいう価値基準で判断されると国の将来を誤ります。

 つまりもし海外に輸出して同じような大災害を起こした時、たとえそれが想定外の原因であっても我が国の責任が問われます。また輸出先の国民に多大の被害を及ぼします。これは人道問題です。既存の原発の安全性を高めるための技術輸出なら納得できます。自国の利益だけから判断しないで世界の国々の人々の安全と幸せを目的に大所高所から全体最適化の発想をしてほしものです。もっと世界の人々の安全と幸せに貢献できるインフラ輸出があります。たとえば新幹線ですとか上水道設備などです。このようなシステムの輸出政策こそ強力に進めてほしいです。

 現在は原子力協定の段階なのでまだ輸出は止められます。どうしたらよいでしょうか。みなさんで考えてほしいです。正しい発想をする政治家・政党を選ぶことがまず喫緊の対策でしょう。つまり自民・民主ではだめだということです。たとえば良識ある『みんなの党』のような政党が育ってほしいものです。

 官僚も変えなくてはいけません。しかし、現実問題として変えられません。セクショナリズムや部分最適化に囚われない発想のできる人材の養成が求められます。官僚トップに東大出身者が多いということはもちろん立派な人もいますが、東大の教育の仕方に問題があるのかもしれません。しかし、本質は小学校からの教育の問題でしょう。全体最適の考えを自ら発想できる教育が求められています。人のために自ら率先して行動できる国民を育てることが求められています。今から小学校の教育内容を変えるとなると、結果が出るには20数年かかるでしょう。悲しい現実ですが一歩一歩変革していかなければならないでしょうね。

雲場池全景

軽井沢の雲場池です
ここは放射能に汚染されていないようです
このきれいな自然を護りたいですね





Recsat Hiromu



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日本のエネルギー問題を考える(11)最終回

2011.09.13(09:37) 57

  
日本のエネルギー戦略の提案とまとめ(その4)


 前回と同じ表を下記に示しますが、今回は集中型発電システムの残り(表1の黄色の範囲)と今まで検討して来た戦略のまとめ(表2)を述べたいと思います。

 まず海流発電があります。黒潮のような安定した海流を利用して発電します。海流発電についてはシリーズ(6)を参照してください。一般財団法人エンジニアリング振興協会は、定格出力2MW(0.076億kWh/年)の海流発電システムの事業化をめざして基本設計を開始したと報告されていますが、他にはとくに我が国では具体的プロジェクトが検討されていないようで寂しいかぎです。一方海外ではアトランティスという会社が50MW(4.38億kWh/年)の海流発電システムをインドに建設するというニュースはありますが詳細は不明です。海流発電は太陽電池や風力発電のように天候に影響されないということでは優れていますが、海中という条件が別の技術的難しさをもたらしているようです。そこで一応10年後に2億kWh/年、15年後に20億kWh/年と控え目に見積もりました。
http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/climate/attachement/091023-7wave.pdf#search=%27%E6%B5%B7%E6%B5%81%E7%99%BA%E9%9B%BB%27
 
 次は夢のある話ですが、高変換効率の太陽電池です。シリーズ(5)で詳しく述べましたが、現在の太陽電池が太陽光スペクトルの一部しか利用していないので変換効率が低いのですが、これを太陽光の幅広いスペクトルを利用できるようにすると変換効率は50%以上になります。現在の平均が20%ぐらいですから2倍以上の性能になります。素晴らしいですね。環境省の報告では太陽発電のポテンシャルが一番条件の悪いシナリオの場合でも540億kWh/年と予測していますから、私は15年後に控え目に90億kWh/年と仮定しました。

集中型発電システム(2/2)

 
 次は地熱発電です。シリーズ(5)で述べましたが、多量の蒸気を噴出する地層を見つけることが技術的に非常に難しいと思われます。その技術が確立されれば地熱発電は有望ですが、そのような証拠はまだありません。そこで私のアイディアですが(他所で既に提案されているかもしれませんが調べていません)、高温の地層まで穿孔し、そこに高圧の水を押し込むと水蒸気が簡単に得られるのではないでしょうか。そのような地熱の利用技術はそれほど難しくないと思われますので15年後に確立するとして、90億kWh/年を仮定しました。

 高変換効率の太陽電池と中東のような灼熱の広大な砂漠地帯の利用を融合して発電するシステムを考えました。発電した電力の一部は中東諸国の電力として利用してもらい土地利用料に当てます。残りを日本に輸入します。電力として日本に輸送することは困難ですから水素の形で輸入します。シリーズ(4)で述べた固体高分子電界質水電解法で水から水素を生成し、それを日本に輸送して、水素燃焼ガスタービン+コンバインドサイクルで発電すれば大量の電力が得られます。しかしここでは15年後に90億kWh/年だけを仮定しました。

 さらに高効率で我が国のエネルギー自給率を高める素晴らしい手段が、日本近海に多量に埋蔵されているメタンハイドレードから水素を生成し、それを新世代燃料電池に直接入れて発電するシステムです。メタンハイドレードの代わりにもちろん石炭ガス化ガスも利用することができます。燃料電池が進歩すれば(シリーズ(6)に記載)メガ発電が可能になりますから、15年後にこの発電量をやはり90億kWh/年としました。以上集中型発電システムによる発電量の合計が表の最下行に示してあります。
 
まとめ

 ここまで述べてきた戦略をまとめ、将来どうすればよいかという提案を表2に示し、結論を詳しく述べます。

まとめ



1.新エネルギー発電と既存の発電システムにより10年後を超えて15年後以内に原子力発電は全廃できる

 表2は、省エネ分を引いた「将来年間電力需要(黄色の最初の行)」から「分散型発電システム+集中型発電システムによる発電量」(ここには既存の火力・水力発電量も含まれます)(黄色の2番目の行)をひいた差を最下行(水色の行)に示します。
 10年後までは新エネルギー技術と既存の火力・水力発電を合わせても電力は不足しますので原子力発電を使います(原子量発電はピンク色の行で示してあります)。それでも新エネルギーで発生した電力分は原子力発電を減らせます。15年後ではありますが原子力発電は全廃できることが分かってホッとしました。願わくはこの期間に二度と福島のような事故が起きないことを願っています。またこうしている間にも使用済み核燃料、危険な核廃棄物が作られ続けていることを忘れてはいけません。
 繰り返しますが、この15年後という数値は、技術論です。政治的な社会条件は考慮しておりません。以上の説明でもお分かりのように、新技術の発電能力はかなり控え目に見積もってきましたから、政治が本気になればもっと短期間に全廃することは可能です。どのようなプロシージャでこれをより早く実現していくかは政治の役目です。
 一方原子力発電の関係者や関連企業はこの戦略が実現すると仕事を失うことになります。その方たちや企業は新エネルギー産業に転換してもらいます。こちらの方が安全で、将来に夢が持てる明るい産業分野になるでしょう。

2.新エネルギーと既存の発電システムにより15年後にはエネルギーの自給率を約10%向上させられる

 15年後のエネルギー収支は原子力発電を全廃した上に、さらに740億kWh/年の電力が余ります。これで石油火力発電も全廃できました。それでも余った分を天然ガス火力発電の削減に充てました。この結果、740億kWh/年で石油と天然ガスの輸入を減らせますから、740÷7125×100=10.4%自給率を向上させたことになります。原子力のウランの輸入分を考慮すればもっとエネルギー自給率は高まるでしょう。

3.さらに進化した新エネルギーおよび既存発電システムの進歩とメタンハイドレードとを組み合わせると15年後以降にさらにエネルギー自給率を高められる

 メタンハイドレードが自由に利用できるようになり、新エネルギーが有効に利用できるようになれば、原子力発電も石油・天然ガス火力発電もなくなり、エネルギー原料として輸入するものは石炭だけになるので、エネルギー自給率は75%に飛躍します。日本国内での生産活動も安定します。社会生活も安定します。
  このように新エネルギー関連の産業が興り、エネルギー自給率が高まれば、ほとんど国内だけで生産と消費が循環する経済(私のシリーズ「内需循環型経済」を参照してください)に移っていくことが可能になります。つまり為替レートに左右されない、安定した豊かな経済が実現できます。もちろん新エネルギー関係の製品・システムを輸出することも可能でし、海外での生産や企業買収はそのまま継続されると、その収益が日本に還流し、その資金で必要な物資を海外から輸入することもできます。

 戦略のまとめはこれで終わりますが、最後に二、三付記したいと思います。

 以前から何回も述べたとおり、技術はあるとき革命的な変化をもたらします。そのようなときは当然ここに述べてきた戦略は修正されなければなりません。またここではあくまでも一つの技術戦略を述べたまで、他のソリューションは無数に考えられます。このシリーズの目的は原子力発電を時系列的に削減・廃止できる戦略が一つは存在しうることを示すことです。
 
 今後はこの戦略をどのように実現していくかという政治・経済的なプロシージャを検討する段階に移っていきます。この問題は他の専門家に譲ります。是非素晴らしいアイデアを沢山出してほしいと思います。

 もうひとつ重要な問題は、このシリーズでは簡単にしか述べませんでしたが、「新しい豊かさとは何か」という問題です。私は大量生産・大量消費の文化から、精神的なものが尊ばれる文化の時代が来ると思います。日本人はものづくりだけでなく、もっと精神的な創造性・独創性で世界の文化に貢献し(もちろんこの分野で世界的に活躍されている方は現在でも多数おられます)、尊敬される国に変わっていくのではないかと思います。この点に関しても是非皆さんの活発な議論を期待しましてこのシリーズを終わります。長い間お付き合いくださりありがとうございました。

現在の大沼

前回紹介した赤城山の山頂にある大沼の現在の姿です
実はこの湖で沢山獲れるワカサギが
放射能汚染で獲ることを禁止されているのです
福島第一原子力発電所から225kmも離れているのにです
原発事故の影響の広さに驚かされます


結氷始めた大沼

私の知人の岩崎弥平次さんの撮影です
結氷始めた神秘的な大沼の写真です


冬の大沼のワカサギ釣り

同じく岩崎さんの撮影で結氷した
大沼でワカサギ釣りを楽しむ人です
このような風景はいつ見られるようになるのでしょう




Recsat Hiromu



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日本のエネルギー問題を考える(10)

2011.09.12(08:30) 55

            日本のエネルギー戦略の提案(その3)

 今回は新エネルギー技術を利用する集中型発電システムによる発電量を下記の表をもとに解説をします。量が多いのでまず表の半分だけ(黄色部分)を説明します。基本的な戦略は当分の間、既存の天然ガス火力発電、石油火力発電、石炭火力発電、水力発電は継続してベースロード(変動しないで安定して供給できる電力)として利用します。節電による電力、分散型発電システムによる電力、集中型発電システムによる電力を併せて、獲得できる電力がその期間の電力需要を超える場合、余剰の電力はまず原子力発電を減らすために利用します。原子力発電を全て廃止しても余る電力は、発電単価を下げるために石油火力発電を廃止するために利用し、それでも余る電力は天然ガス火力発電を減らします。

 上記発電設備は長年使用していると耐用年数が問題となりますが、火力発電設備の耐用年数は法律的には改修を繰り返し、定期検査や定期安全検査等に合格すれば、理論的には半永久的に運転を継続することができます。そこでここではこれらの火力発電は十数年間このまま頑張ってもらうという仮定です。

 火力発電ではCO2の排出が問題となります。CO2は排出しても地球環境には影響しないのだという説もあるようですが、ここでは一応CO2の排出は削減しなければいけないと仮定します。CO2回収・貯蔵技術(CCS)はかなり確立していますが、コストや発電効率の点では問題があります。10年後までには低コスト、高発電効率を実現できるのCCS技術が確立すると仮定しています。シリーズの(6)で解説しましたが、15年後までには、石炭ガス化複合発電(IGCC)がさらに進歩して、IGCCサイクルの中にCO2回収プロセスを組み込んだCO2回収型高効率石炭ガス化複合発電技術が実用化されると考えました。さらにIGCCは従来の石炭火力発電よりも効率が良くなりますので、それだけ発電量当たりのCO2排出量は減ります。

集中型発電システム(1/2)

 回収・貯蔵したCO2はどうするのかというと、いろいろな再利用法が現在考えられています。産業技術総合研究所ではCO2を原料としてエンジニアリングプラスチックの原料である炭酸エステルを製造する反応プロセス法の開発に成功しました。さらに、太陽光を利用してCO2から液体燃料をつくる方法なども研究されているというニュースも流れてきています。CO2もまんざら捨てたものではありません。
http://www.aist.go.jp/aist_j/new_research/nr20080530/nr20080530.html
http://wired.jp/wv/2008/01/15/%E5%A4%AA%E9%99%BD%E5%85%89%E5%88%A9%E7%94%A8%E3%81%A7%E3%80%81co2%E3%81%8B%E3%82%89%E6%B6%B2%E4%BD%93%E7%87%83%E6%96%99%E3%82%92%E4%BD%9C%E3%82%8B/

 15年後には石炭、水素、メタンハイドレード、地熱が有力なエネルギー源になるのではないでしょうか。それではこの表に従って集中型発電システムによる戦略を説明しましょう。

 最初にも述べましたが、既存の天然ガス火力発電、石油火力発電、石炭火力発電は現状では暫く使用するという考えです。これは電力のベースロードにもなりますので当分の間は原子力発電と併用になります。既存の水力発電の構築物全体の法定耐用年数は57年だそうですが、個々の設備の耐用年数がくると大規模補修をしたり取替をしたりしながら使用するようです。したがって既存の水量発電もこのまま使うと仮定します。大規模改修がされるたびに技術の進歩があり、僅かですが発電効率が上がると仮定しています。
http://www.meti.go.jp/committee/materials/downloadfiles/g80205d03j.pdf#search=%27%E6%B0%B4%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB%20%E8%80%90%E7%94%A8%E5%B9%B4%E6%95%B0%27

 メガソーラー発電は電気事業連合会のまとめによると2020年までに全国30地点に設置を計画しており、その発電量合計は1.5億kWh/年だそうです。
http://www.fepc.or.jp/future/new_energy/megasolar/index.html
 
 しかし、前回紹介した環境省の報告書によると、一番条件の悪いシナリオの場合でも太陽光発電の将来の導入ポテンシャルは236億kWh/年と予測されています。つまりポテンシャルは高いのですが、電力会社は原子力発電を重視するので計画が消極的なのでしょう。そこで私は控え目に見積もって15年後には100億kWh/年達成できると仮定し、これをベースに10年後、5年後を推定しました。

 洋上風力発電の環境省のポテンシャル予測では、一番良い条件のシナリオでも14万kW(稼働効率15%として約1.8億kWh/年)です。これは分散型エネルギー発電システムのところでもお話ししましたが、シリーズ(3)で紹介した九州大学の太田俊昭名誉教授の発明になるスーパーカーボンファイバーで作る浮体技術や、九州大学大屋祐二教授の発明になる風レンズ風車の技術が入っていないので、このように低い予測値になっていると思われます。太田名誉教授の提案では1か所で原子力発電所1基分に相当する100kW級(効率15%とみて13億kWh/年)の洋上発電も夢ではないといわれています。そこでこれらは既に確立している技術なので、5年後に13億kWh/年としてその後増えていくと予測を立てました。風力発電の問題はやはり稼働効率の低さでしょう。
 
 次は天然ガス燃焼ガスタービ(GT)+コンバインドサイクル(以上をGTCCと略します)+低コストCO2分離・回収(CCS)(以後GTCC+CCSと書きます)を説明します。これは天然ガスを燃焼させてガスタービンを回し、高温の排熱で蒸気タービンを2段、3段と回し、排熱からも発電するので、発電効率は高くなります。ガスタービンや蒸気タービンは現在の技術で可能ですが、CCSが問題です。低コストのCCSが開発されたとして5年後から実用されるとして考えました。50億kWh/年は1基の原発の約半分の発電量です。

 次に石炭ガス化複合発電(IGCC)+低コストCO2分離・回収(以後IGCC+CCS)の説明をします。IGCCについては再度説明します。石炭は世界各地に埋蔵されており、その埋蔵量は150年以上とも言われています。ただ石炭火力発電の欠点はCO2の排出量が多いことと効率が42%ぐらいで高くないことです。そこで石炭をガス化して、そのガスを燃焼させてガスタービンを回し発電します。さらに、排熱を利用して蒸気を作り、その蒸気で蒸気タービンを回すことにより、CO2を2割ほど減らせ、しかも効率が48~50%となります。また従来の火力発電では使用できない石炭も、石炭をガス化することにより広い炭種が使用できることになります。さらに石炭灰がガラス状になりますので、スラグの体積が従来の半分ぐらいになります。クリーンコールパワー研究所(9電力会社等で設立した研究所)で250MW(定格で26.4億kWh/年)のIGCC実用化設備で実証研究が進められてきました。2010年には累積5000時間運転に成功しています。そこで10年後に50億kWh/年を発電できると仮定して、以後倍々に増えていくとしました。
http://www.ccpower.co.jp/igcc/schedule.html

 従来のCO2回収型IGCCでは、発電効率が下がり、発電コストも上昇します。これを改善するためにCO2回収型高効率石炭ガス化複合発電(進化したIGCC)が電力中央研究所で提案されました。このシステムは排出されるCO2の一部を酸素とともにガスタービンに循環させるとプラントの効率が向上し設備が簡素化されます。さらにCO2の一部をガス化炉に戻して石炭と一緒に燃焼させるとガス化炉の性能向上と設備の簡素化が可能になるというものです。最後に残ったCO2は回収・貯蔵します。これはまだ緒に就いただばかりで、九州大学と産学連携で研究開発を進めるようですが、有望な技術で将来は現在の火力発電を変革していくものになるでしょう。そこで10年後に50億kWh/年を期待しました。15年後はその倍を考えました。 
http://www.brain-c-jcoal.info/news_images/cctWorkshop2009_text2_3.pdf#search=%27CO2%E5%9B%9E%E5%8F%8E%E5%9E%8B%E9%AB%98%E5%8A%B9%E7%8E%87%E7%9F%B3%E7%82%AD%E3%82%AC%E3%82%B9%E5%8C%96%E8%A4%87%E5%90%88%E7%99%BA%E9%9B%BB

 ガスタービンは入り口温度が高いほど効率が良くなります。現在は1500℃ですが、水素は燃焼温度、燃焼速度ともに高いので入り口温度は1700℃となり、それなりの技術開発が必要になります。水素は燃焼しても排出物はCO2が出ないで水だけであるので理想的な燃料です。この水素燃焼ガスタービンがコンバインドサイクルと一緒になると、効率は60%が実現できるそうです。このシステムはシリーズ(4)で説明してあります。この技術はWE-Netというプロジェクトで500MW級発電プラントの基礎研究が終了し、効率も目標値を達成する目途が付いています。水素をメタンから製造する場合は水蒸気改質法用いますからその設備が必要になります。太陽電池などで水を電気分解して水素を製造する場合はそのままガスタービンの燃料になります。この技術は早く実用化したいので、希望的予測として10年後に50億kWh/年としました。15年後はその倍を考えました。

少々長くなりましたので残りは次回に回します。

赤城山

私の知人である岩崎弥平次さん撮影の赤城山です
手前が利根川です
写真中央から右側に前橋市が広がります
すそ野が長く美しい山です
この山の頂上に大沼という湖がありますが
次回はその写真をお見せします


Recsat Hiromu



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日本のエネルギー問題を考える(9)

2011.09.07(14:08) 53

           日本のエネルギー戦略の提案(その2)ver1

 9月7日公開したこの記事の中で風力発電の計算を間違えていましたので訂正します。申し訳ありませんでした。


 次の検討テーマは分散型発電(住宅系発電および小規模地域発電)システムの発電量の計算です。結論は次表にまとめてあります。まず、太陽電池ですが、次のサイトの情報を利用させてもらいました。
 
 http://solar.mayuha.com/dounyu-9-205

 この記事をベースに推定すると、2011年に住宅戸数の2%(約106万戸)に2kWp(実際には3kWpもかなりの数になると思われる)の太陽電池が導入されているとすると、約21.2億kWh/年となります。したがって控えめに1年後の太陽電池による発電量は20億kWk/年と仮定しました。[kWp]から[kWh/年]に変換するには、1日の日照時間を7時間と考え、それの2.5分の1(天気が悪かったりした場合を考えてピーク値の2.1から2.5の係数を使うようです)で考えると[kWp]の数値を約1000倍すれば求まります。以後、倍倍に増えると考え、しかも変換効率も向上するので15年後は150億kWh/年としました。

分散型エネルギー発電システム


 最近になって環境省の詳細な再生可能エネルギー(非住宅系太陽光発電、風力発電、地熱発電)導入ポテンシャル調査報告書を見付けました。以後これも参考にしながら説明します。ただし、この報告書に記載されているデータは非住宅系ですから、今論じている分散型太陽光発電のデータとしては残念ながら使えません。次回の集中型発電システムの分析では使えます。
 
 http://www.env.go.jp/earth/report/h23-03/

 次に燃料電池ですが、これはまだまだ未成熟です。2008年6月25日に燃料電池実用化推進委員会が家庭用燃料電池の認知向上のために「エネファーム」という統一名称を決定しました。家庭用燃料電池コージェネシステムの愛称です。

 いろいろな販売予測がありますが2015年に予測値を平均すると5.5万台/年というところではないでしょうか。一世帯当たりの一か月の電力消費量が統計によると約300kWhですから、5年後に5.5万台(住宅総戸数の0.1%)が販売されるとすると、約2億kWh/年となります。これをベースに予測したのが表の数値です。 燃料電池による発電量は住宅系ではご覧のように確かに少ないですが、後述する集中型発電システムに登場する燃料電池はかなり我が国の総発電量に貢献できます。

 風力発電については上記報告書が参考になります。ただし、同報告書では九州大学で開発された高性能な風レンズ風車、スーパーカーボンファイバーによる高強度、軽量、長寿命の浮体は考慮されていないようなので、かなり発電ポテンシャルは低く見積もっています。陸地の風力発電を分散型発電システムとして扱うと、導入できる可能性として、定格出力の稼働率が年間平均で15%(この値は下記に説明します)とすると、上記環境省報告のもっともよい条件のシナリオの場合で3.6億kWh/年となります。

 風力発電に関しては同報告書で定格発電能力しか発表していません。実際の発電量は風の状態により変わりますから、そのデータがほしいのですが発表していませんし、どこにもそのようなテータが見当たりませんでしたので、高知県の実績稼働率データの平均的な値として上記の15%を採用しました。そこで九州大学の技術を用いれば性能は2~3倍向上しますから、私は1年後に1.0億kWh/年から増えて、表に示す通り15年後には20億kWh/年になると仮定しました。

 最近は身近の河川や用水路の流れを利用した小規模水力発電装置がいろいろと販売されるようになりました。このような小規模水力発電は分散型としては有力な方式ですがここでは省略しました。 

以上の合計が最下行に示されていますが、上記の議論からお分かりのように、この結果はかなり控えめな予測で、実際はこの倍ぐらいの発電量になるかもしれません。

 次回は集中型発電システムの発電量について述べたいと思います。

延暦寺

そろそろ秋の足音が聴こえますね
秋の延暦寺です
(本ブログは2011年9月7日記載です)


   

Recsat Hiromu



エネルギー問題
  1. 簡単な省エネ対策(03/11)
  2. 原発の輸出(12/14)
  3. 日本のエネルギー問題を考える(11)最終回(09/13)
  4. 日本のエネルギー問題を考える(10)(09/12)
  5. 日本のエネルギー問題を考える(9)(09/07)
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