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TPPをどう考えるか(4)

2011.11.17(11:08) 63

          農業関係の皆さんTPPに正しい認識を持ってください

 TPPで自由化されると農業が壊滅するという先入観を捨ててください。 今までに自由化されると崩壊するといわれた産業で崩壊するどころかかえって繁栄した産業が多数あります。このシリーズ(2)でも詳しく述べましたが自動車産業は自由化した結果現在の繁栄をもたらしています。

 ウイスキーの内外税率格差を是正してウイスキーの関税を焼酎と同じにされると焼酎産業が崩壊するといわれましたが、97年10月から2000年10月まで3年以上かけて3回にわたり焼酎を増税し、税率格差をなくしました。転廃給付金を大きく積み増したり、原料米価格への配慮などの業界対策も行ないました。 3年経過して増税が終了しましたが果たして結果はどうなりましたか。焼酎業界の努力によりウイスキーの輸入数量は激減し、焼酎は今日まで売り上げ増が続いています。(下記の記事から引用しました)
http://diamond.jp/articles/-/14739

 2011年11月17日の日経新聞には山形県のサクランボの例が載っています。サクランボは1977年に米国産の輸入が解禁されました。この時もサクランボ産業は壊滅するとして反対運動が起きました。しかし30年を過ぎて、同県の生産量は逆に1.3倍に増えました。自由化の際に缶詰用の品種から鮮度で勝負する生食用に切り替え、雨に弱い欠点を踏まえて専用設備も考案したのです。おかげで高級品種としての知名度が高まりこの自由化を乗り切ったのです。私はアメリカ産のサクランボより美味しい山形産のサクランボの方がずっと好きです。

 このようにコメも品質を上げるとともに生産性も向上させなければなりません。そのためには減反政策、戸別補償の見直しとともに、生産収量の増大も図らなければなりません。そこに手前みそですが中沢メソッドを有効に活用してほしいと思います。農業は改良の成果を得るために長い年月を要します。ところが中沢メソッドは1年で最適条件を見出せます。たとえば4つの生産パラメータ(播種の時期、方法、肥料の種類、与える時期など、もっと数を増やすこともできます)の最適値を見つけたいとき、田畑を9区画に区切り、直交表に従った9種類の条件の組み合わせでコメなどの農作物を育てると、翌年にはそれぞれの区画の結果から4つのパラメータの最適条件の組み合わせが簡単に計算で求まります。そうしたらその年はその最適条件で栽培して成果を確認すればよいのです。おそらく何割もの生産性・品質の向上が見られるのではないでしょうか。

 日本人の知恵と工夫と努力を見くびってはいけません。改革しないでこのままいけばそれこそ日本のコメ産業は壊滅してしまいます。JA や農家の票を宛てにする政治家の間違った考えに惑わされてはいけません。

 先日カナダとメキシコもTPP参加の意思を表明しました。台湾も参加の方針を決定したようです。雪崩的に参加国が増えていきます。日本の参加表明は実にタイミング良かったということです。自民、公明、共産などが反対をわめいていますが、いかに時代の流れを読めない政党かということが良く分かります。その点まだ人数は少ないけれど「みんなの党」は賛成しており、しっかり時代の流れを読める政党です。

 TPP交渉に入らなければ議論も深まりません。また外交交渉ですから国民にも手の内を明かせないというジレンマもあります。しかし、経済を中心に海外と自由に交流し、商売できるようになれば日本は元気になります。野田首相は日本人の首相です。日本に不利な交渉はしないはずです。また自由化で影響を受ける分野には当然最初は国が変革・進歩のための支援をするはずです。日本人の独創力を信じましょう。もしそれでも問題のある交渉になってしまったときは(もちろん私はそのような事態を想像もできませんが)批准を拒否すればよいのです。この批准制度は国民が不利にならないようにアメリカが考え出した制度です。

 JAや野党がわめく反対論に惑わされず、野田さん!日本の将来のために、日本の農業再生のために、信念を貫き通してください。


雲場池のかも

2011.10.24 撮影の軽井沢雲場池のかもです



Recsat Hiromu



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TPPをどう考えるか(3)

2011.11.05(21:17) 62

                豊かな未来を目指そう

 TPP交渉参加反対の声高な声、とくに農業関係者のアジテーションにはうんざりさせられる人が多いのではないでしょうか。確かに関税の保護がなくなったら農業は立ち行かなくなるのではないかというコメ生産者の心配は分かる気がします。しかし、今の衰退したコメ農業をなんら自己改革してこなかったコメ農業関係者にこそ責任があるのではないでしょうか。同じ農業でも果実や野菜や花卉は十分自己改革して輸出できる強さを獲得してきています。農家からコメを集めて販売する手数料でうまい汁を吸って何の変革努力もしてこなかった全農やJAの反対運動を見ていて今さら何をわめいているのだとしか思えませんね。 

 農業関係者の反対論ばかりが目についてTPPのメリットは何なのか分かりにくくなっています。単なる貿易自由化の話ではありません。そこで私なりにTPPのメリットを3点まとめてみました。もっと他にもありますが省略します。

(1)TPPに参加することにより輸出が増える
 これは当たり前のことですが、これに対してはいろいろ反論があります。参加国のGDPの割合で言うとアメリカが67%、日本が次に多く24%、後は微々たるものだから、結局アメリカとの自由貿易協定だというものです。確かにそうですが、それだけで反対していいものでしょうか。日経ビジネスの2011.11.7号によると輸出手続きが簡単になり技術のある中小企業は簡単に輸出できるようになります。高い技術をもつ中小企業には円高に左右されない経営ができます。なぜなら高く買ってくれるからです。大企業の下請けの仕事しかやれない今の中小企業は技術があっても大企業のあおりを受けて気息えんえんとして大変な苦境に置かれています。中小企業が独自に海外の企業相手に商売できるようになれば元気が出て、日本経済が活性化します。雇用も増えます。中小企業の労働生産性は今でも大企業の半分ぐらいですが、中小企業が独自に輸出するようになれば労働生産性は大企業に肩を並べるぐらいになるでしょう。

(2)海外と交流が深まれば発想も広がります
 海外の取引先と簡単に親しく交流したり、海外の市場に触れることで新しい発想、新しい商品が創造されます。それが国内のいろいろな制度を見直すきっかけにもなり、製造業に限らず社会全体がより住みやすい日本を実現するように変わっていくことが期待できます。つまりTPPは自由に国の間を行き来できる良い仲間作りが目的と私は考えます。
 話は変わりますが、アメリカのボストンにMITという大学があります。私は昔1年間客員研究員としてMITに滞在しましたが、その教授が私にMITは何十人もノーベル受賞者がいると自慢げに話されました。現在ノーベル賞受賞者は60人ぐらいいます。その教授がどうしてMITの教授がこれだけノーベル受賞を取れるかという説明によるとMITでは教授が5人集まると1人は外国人だそうです。つまりいろいろな国のいろいろな考えの人と交わると素晴らしい発想が出やすいというのです。その通りだと思います。私自身も1年間の滞在で素晴らしい刺激を受け、その一つは中沢メソッドに結実しました。日本人はもっと気軽に海外の人と交流するべきですし、そうすれば日本人の素晴らしい頭脳は有効に生かされます。
 このようなことを言うと、何をのんきなことを言っているのか、アメリカは自分の国に都合のいい基準を日本に押し付けて日本の社会を破壊するぞ、という反論が聞こえてきます。しかし、日本の優れた医療制度を壊したり、食の安全を脅かしたりなどなどの無理難題を言ってきたらそれを拒絶するのが外交交渉のはずです。しかも無理を言えば、他のパートナーの国と結託して反対することもできまるはずです。つまりアメリカと単独交渉するFTAなどよりは交渉しやすいはずです。
 さらにこのグルーピングは我が国の安全保障にもなります。グループメンバーの一国がグループ以外の国から武力的に主権を侵害されたら他の国が支援してくれるはずです。このグルーピングを強めれば強めるほど安全保障は強固になるので、防衛費の削減にもつなげたいものです。

(3)TPPを契機に戦後60有余年で淀んだ日本社会を再生する
 日本再生の象徴的存在が農業です。私たちはわざわざ私たちの税金を使われて高いコメを買わされているのです。税金を使ってコメをわざと作らせないようにしてコメの価格を高く維持している減反政策を止めれば今よりは30%も安い美味しコメが食べられるのです。
 農家の平均年齢は66歳です。いまの国内でかたまって先の見えない農業では若者は入ってきません。今後農家の人たちはどうするのでしょうか。ほぼすべての農家に補助金を支給する個別所得補償制度があるため大規模化しようという人に農地を貸さずに自分でコメを作り、それだけでは生活できないので工場などで働く兼業農家が多くなっているのです。兼業農家の小規模生産が効率の悪い農業の原因です。このような農業は減反政策や個別所得補償制度を止めれば30%はコスト低減で来て、しかも質が良い美味しいおコメなので作り過ぎても輸出に回せます。十分輸出産業として成り立つということをキヤノングローバル戦略研究所研究主幹の山下一仁氏が座長を務める「強い農業」を作るための政策研究会で提言されています。
http://www.canon-igs.org/research_papers/macroeconomics/20110527_898.html
 もしも輸入米との価格差が問題となるときは農家に直接補助金を出して支援するのです。詳しい説明はこのサイトを読んでください。
 とにかく農業政策の日本の第1人者が15人集まって出した知恵です。日本の農業を改革すれば明るい未来が待っているのです。ここの提案では「東北地方を農業特区として規制緩和を含めた支援をすれば東北地方が我々国民全体に、美しい農村風景と豊かな農産物の実りをもたらしてくれる農業先進地区に変貌するでしょう」と述べられています。TPPを契機に日本のコメ産業の未来を明るいものに変え、我々消費者もその恩恵にあずかりたいものです。TPPという外圧がなければきっと改革はされず、今の日本のコメ産業の未来は暗いみじめなものでしょう。農業関係者のみなさん、もう一度冷静に考え直してみてください。
 農業以外の分野でも変革しなければいけない歪んだ社会制度が沢山あります。TPPを外圧として日本を変革し、明るい未来を望みたいものです。

恵みの朝日影

「恵みの朝日影」
友人の土岐至孝氏が軽井沢で撮影しました
寒い朝、陽に照らされながら可憐な小鳥が懸命にえさを探していたそうです
後日この写真が10月の朝日フォトコンに入選されたとの知らせを受けました
おめでとうございます


 

  

Recsat Hiromu



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TPPをどう考えるか(2)

2011.10.26(10:30) 60

                 立ち止まって考える

 まずTPPについておさらいをしておきます。TPP は Trans-Pacific Partnership (正式の名称はもっと長ったらしいのですが一般には簡単なのでこの名称を採用しています) の略ですが、日本語は環太平洋経済連携協定です。シンガポール、ニュージーランド、ブルネイ、チリの4ヶ国の経済連携協定が原型ですが、後にアメリカ、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシアが参加を決め、9ヶ国の間でヒト、モノ、サービス、カネの移動を自由にしようとする協定です。
 
 これは経済的な視点だけでなく、太平洋を囲む国々の親密な仲間形成を意味していると思います。見方を変えると、中国を外した隣組を形成して自己中心的でしかも最近特に軍事的脅威を増してきた中国に対抗しようという意図が見えます。私は後者の理解を評価しています。ヒト、モノ、サービス、カネの移動の自由化も重要ですが、このような仲間に日本が入るのか入らないのかという選択を迫られていると思います。

 TPP に加盟しないと何が困るのかと考えると、日本は近隣諸国から孤立して、結局日本経済もますます低迷してしまうということではないでしょうか。ここから考えると、この問題のメタコンセプトは『近隣諸国と仲良くお付き合いして、日本社会の安定的発展を目指す』ということになります。このメタコンセプトを満たすために日本はどのような行動をとるべきかを考えてみたいと思います。

 ところで、最近マスメディアによるTPPの報道がますます騒がしくなってきました。報道から諸団体のTPP反対行動を見ているとなんとなく違和感を感じます。過去の歴史に同じような国を二分する混乱が何度もあったような気がします。幕末に起こった尊王攘夷論に基づく政治運動はよく引き合いに出されます。しかし、もっと近代に同じようなことがありました。私の学生時代に興った安保闘争(1959~1960年)です。単にアメリカ軍に基地を提供するための安保条約から、日米共同防衛を義務づけたより平等な条約に改正しようとしたところ、これを締結すると日本は米ソ戦争に巻き込まれるから絶対反対という闘争でした。後にソ連共産党中央委員会国際部が社会党や共産党、総評などに大きな援助を与えて運動を煽ったということが明らかになっています。私たち学生はその理論に振り回され、反対運動にうまく乗せられたのでした。しかし、私自身は心の隅になんとなく本当だろうかという小さいわだかまりがありました。それから50年結局日本には何も起きませんでした。あの騒ぎは何だったのでしょう。もっと冷静に人の意見に振り回されるのではなく一度立ち止まって冷静に自分の頭で考えてみるべきでした。周りの空気に流されて自分を見失ってしまうととんでもない失敗をしてしまいます。

  2011年10月25日付けの日経にTPPで問題となる分野の影響をまとめた記事が載っていますが、どのような分野で影響が出るかということを概観する意味では良い記事です。そこにも記述されていましたが、政府は「混合診療の解禁や営利企業の医療参入は議論の対象になっていない」と否定しています。医師会はもっと冷静に対処すべきでしょう。医師や弁護士の受け入れも日本語ができない外国人がこのような仕事を日本ですることは不可能です。つまり日本語は公に認められた立派な非関税障害で日本のいろいろな分野を保護してくれています。

 一番問題は輸入農作物の問題でしょう。安い農作物がなだれ込んできたら日本の農業は壊滅的な打撃を受けると農業関係者は声高に叫んでいます。この背後にはもちろん安保のような外部の陰謀はないでしょうが、しかし、これも冷静に考えてみましょう。本当に農業は壊滅的な打撃を受けるのでしょか。明日から直ぐ関税がゼロになるわけではありません。締結後10年間の余裕があります。現在の国の過保護な制度に護られて成り立っているような農業のままでいいのでしょうか。国民に高い農産物を押し付けて、税金の補助を受けているままでいいのでしょうか。もっと工業製品のように生産性を向上させることを考えなくていいのでしょうか。そんなことは誰も考えていないでしょう。これをチャンスにもっと儲かる、リーズナブルなコストで日本らしい高品質な農作物を作り、しかも輸出もできる農業に変革する方策を考えるべきではないでしょうか。

 今回のTPPの農業に似たような問題が過去にもありました。自動車の自由化です。1965年に日本は自動車を自由化しましたが、当時も自動車を自由化したらたちまちアメリカの自動車産業に食いつぶされて、日本の自動車産業は消えてなくなってしまうと大反対がありました。ところが現在の自動車産業はどうですか、消えるどころか世界を席巻しているではないですか。私は日本人の能力・知力を信じています。もちろん農業は日本特有の地形の違いもあるので一概には言えないことは分かっています。しかし日本人が知恵を出し、努力すれば必ず世界に太刀打ちできる農業が実現できるはずです。農業関係者も国民も幸せになれる農業を創造するべきです。これを機会に国の支援を得ながらそのような努力してはいかがでしょうか。その上で『近隣諸国と仲良くお付き合いして、日本社会の安定的発展を目指したい』ものです。

 安保闘争や自動車自由化の反対運動のような過ちを二度と繰り返さないように、特定のグループのアジテーションに振り回されるのではなく、一度立ち止まって冷静に自分の頭で考えてみるべきではないでしょうか。

雲場池
2011.10.25撮影
軽井沢の雲場池です
紅葉のきれいな池でした
日本には外国に誇れる素敵な景色が沢山ありますね


Recsat Hiromu



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TPPをどう考えるか(1)

2011.10.20(11:18) 59

 
                  Win-Win的議論の進め方

            長らくお休みして申し訳ありませんでした。

 最近TPPに関して賛否両論が激しくぶつかり合ってかしましくなってきました。民主党はどのようにまとめればよいか苦慮しているようです。それにして政治家の議論の仕方を見ていて質の低い議論の仕方にはうんざりです。このブログの前回のエネルギー問題シリーズの中でも原発賛否の議論の関連でコメントしましたが、建設的な議論をするにはどうしたらよいかを再度以下に詳しく述べます。その上で私なりのTPPに対する考え方を述べたいと思います。この問題に関しては私はまったくの素人ですが、国民一人一人が自分の考えを持つことは大切だと考えます。したがって素人であっても私の考え方がお役に立つのではないかと考えました。

 さて建設的な議論をする上で重要なことは、お互いにWin-Win的態度で議論することです。このWin-Win的議論の仕方を紹介しましょう。Win-Win的とは自分だけが得するのではなく、お互いが利益を享受できる解決策を見つけるという意味です。Win-Win的議論の仕方は次のステップを踏みます。

1.まず相手と協同して論点を明らかにします
 これは大切な最初のステップです。カッカして最初から細部の議論をぶつけ合うのではなく、何が問題なのかを両者で明らかにする必要があります。一般に賛否の議論が鋭く対立するほどお互いに問題点を誤解して議論がすれ違うことが多いものです。
 意見が激しく対立して妥協点が見えない場合は、最初はお互いがそれぞれにまったく相反する価値基準をもとに議論しているからです。 ここではまずお互いの価値基準を明確にしなければなりません。その上で、それにもとづく要求事項を明確に定義すします。遠慮してはいけません。もし相手が感情的になって意味が分からなくなったらActive Listeningを応用して相手の言いたい問題点を明確にします。
 Active Listeningとはコーチング理論で用いられるコミュニケーション手段ですが、簡単にいえば相手の言ったことを繰り返して相手に投げかけ、相手自身に自分の言いたいことや、持っている問題の解決策を見つけさせる手法です。詳しくはコーチング理論の本を参照してください。これを応用してカッカしている相手から正しい本質的な意見を出させます。
 この作業は協同して行うことが大切です。つまり協同とは自分の立場に固執しないで力や心を合わせて共通の目的のもとに作業を行うことです。それを可能にするのがメタコンセプトの共通認識です。メタコンセプトについてはこのブログの最近の記事『日本のエネルギー問題を考える(1)、(2)』の中でも述べていますし、拙著『ものづくりの切り札 中沢メソッド』の中でも詳しく解説しています。

2.できるだけ多くのWin-Win的解決案を両者で協同して創出する
 このステップではお互いにできるだけ多くの解決案を考え出します。従来の会議や委員会の議論はお互いに相手を論理的に説き伏せようと、相手の考えの間違えを指摘しようというような態度で進んでしましたが、ここでは協同して、お互いにメタコンセプトのもと、心を合わせて両者が納得いく解決案を多数考え出す作業をします。自分に価値基準だけで考えてはいけません。前のステップで明らかになった相手の価値基準も満たせる案を考えるのです。つまりWin-Win的な解決案を協同して創出するのです。
 必ず両者が満足する案が見つかることを信じましょう。従来から持っている自分の案に固執すると良い案が出ません。自分が持っていた案は一度捨てましょう。さらに、相手を尊敬する気持ちを忘れてはいけません。尊敬の基本は愛です。

3.協同して考え出された解決案を評価し最良案を選定します
 メタコンセプトにもとづいて考え出された案を公平・正直に評価します。評価する際に必要なことは、予めそれぞれの立場のWinの基準を決めておきます。これがないと評価できません。この基準に照らし合わせて協同して評価するのです。
 この評価は絶対的でありかつ相対的な評価になります。具体的には次図に示すようなWin-Winマッピング法を用います。この図は自分軸(たとえば懸案の施策を推進する立場の人)と相手軸(たとえは懸案の施策推進に反対する立場の人)で構成されています。目盛りはある種の評価値(たとえば5点法の点数など)です。自分軸であれば右に行くほどWinであり、左得行くほどLoseの評価になります。縦の相手軸も上がWinで、下がLoseです。それぞれの解決案に識別番号を予め付けておき、その識別番号をこの図中のどこにマッピングするかをお互いに話し合って決めます。

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 全部マッピングが終わるとどの案が最も優れているか一目瞭然になります。つまり右上隅に近い案ほど両者にとって優れた案であるということになります。その案が見つかればその案修正を加え進化させてさらに良い案を創りだします。

 以上のステップを見て頂ければこのWin-Win的議論の進め方がいかに合理的で建設的であるかお分かり頂けたと思います。このような基本的な思考方法をもとに私個人でTPPについて考えた見たいと思います。本当は数人の両サイドの方に集まってもらい議論するのが最良ですが、現在の私の周りにはそのような人がおりませんので、私一人で考えてみたいと思います。
 
川場村のりんご園
群馬県川場村のりんご園で撮りました
真っ赤な可愛いりんごがたわわに実っていました
過日野田首相も訪れた農村です
2011.10.21に撮影

 
 

Recsat Hiromu



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内需循環型経済(6)

2011.02.12(15:36) 41

                    内需循環型経済(6)

 食料やエネルギを輸入に頼る経済から自給型経済に変換し、それに関連した産業で内需循環型経済を実現しようという趣旨の提案をしてきました。

 その可能性について、まず自給型エネルギーについて考えてみたいと思います。現代はインターネットを利用すれば必要な情報はほとんど手に入るので、それをただ集めて再録するだけでは意味がありません。ここでは上記テーマに焦点を合わせて情報を整理統合し、新しい意味を発見したいと思います。個々の詳しい技術についてはそれぞれの情報をインターネットで調べて下さい。

 エネルギー源に関しては多くのものが考えられますが、その中でもここではいわゆる再生可能エネルギーに限定して話を進めます。 再生可能エネルギー( renewable energy )とは、国際エネルギー機関の定義によると、「比較的短期間に自発的に定常的に再生される自然現象に由来する、極めて長期間にわたり枯渇しないエネルギー源(またはそこから発生するエネルギーそのもの)を指す」とあります。この定義に従うと、現実にもっとも実用化されているのは風力と太陽光でしょう。

 風力は十分な風力の得られる地域が限られるので、より普遍的に利用出来る太陽光を考えてみたいと思います。NEDO の計算によると、ゴビ砂漠の半分に現在市販されている太陽電池を敷き詰めれば、全人類のエネルギー需要量に匹敵する発電量が得られるそうです。そうすれば副産物として日陰がかなり確保されるので砂漠の緑化が実現出来るかもしれません。さてゴビ砂漠は横に置いておき、現在の太陽電池の効率が更に向上し、コストが下がり、社会的法制度が確立されれば爆発的に普及すると思われます。

 太陽光発電の重要な特徴は分散型発電が可能になるということです。つまり個々の家庭で発電し、利用し、売却できるということです。そのためには余剰電力の全量買取制度が必要でしょう。この制度はドイツのアーヘン市のNPOが世界で初めて提唱して市議会を説得し、反対する電力会社と協議を重ねて実現させたそうです。NPO も市議会も立派な仕事をしたものです。高い議員報酬だけもらってろくな仕事をしないどこかの市議会議員殿とは比べものになりません。
 
 買取制度は各家庭が設置する費用を必ず20年で回収出来るように従来の電気料金にその分を上乗せするという制度です。しかもその電気料金を一般市民が負担するという制度です。ただし、これによる電気代の上昇率は1%以下に抑えるとうい制限を設けています。この問題点は後で論じますが、このような制度で太陽光発電が爆発的にアーヘン市で普及し、それが後にドイツ全体の制度として確立されたそうです。それに伴って太陽電池産業やそれに関連する建設業が繁栄して経済の活性化につながったということです。つまり内需循環型経済が実現したのです。
 
 ところが、折角興った太陽電池産業の倒産が相次ぎました。中国の2割ほど安い太陽電池に食われて倒産する企業が続出したとのことです。中国は労働者を搾取して安い給料でものを作らせ、政府が人為的に設定した安い為替レートで売りまくり、他国の産業を潰してしまうという許せない商売をしているのです。中国人の利己主義がここにも弊害をもたらしています。これがこのシステムを用いて内需循環型経済を実現しようとする場合の一番目の問題点としてあげられます。経済の市場原理ではそれは仕方のないことだ、という意見もあるでしょう。そのためには技術を駆使して中国人の安い労賃をも問題としない、低コストの製品開発に努力しなければならないし、中国製が足下にも及ばない高性能な太陽電池の開発が必要になります。これが可能になれば本当の内需循環型経済が可能になるでしょう。

 二番目の問題は電力コストが高騰すると電力を沢山使う産業が打撃を受けるということです。例えばアルミ製造業はもろにこの影響を受けることになります。この制度を採用する限りは、そのような産業に対する保護特例制度を設けるなどの対策が必要になるでしょう。

 三番目の問題点は電力の供給と需要の時間的変動に依るミスマッチングをどのようにカバーするかということです。このためにはバッテリーを用意したり、電力網を賢く制御する「スマートグリッド」という考え方が提案されていますが、この技術を早く確立しなければならないでしょう。

 二番目と三番目の問題点の解決法は、というより電力買取制度のメタコンセプト的解決策は、設置費用を自分で生産した電力により合理的に、つまり電気代を電気会社に支払う程度の金額で20年で回収出来る低コストで高効率な太陽発電システムの開発ではないでしょうか。

 このような技術で以上の3つの問題を根本的に解決できたら、太陽光発電は更に普及するでしょう。ここで重要なポイントとして私はこう考えます。原子力も風力も潮汐も集中型の電力ですが、これらに対して太陽光発電技術の流れは、クリステンセンのいう「破壊的技術」ではないでしょうか。集中大規模なシステムから、より使い易い、安価で、小規模な分散型に移っていくという技術の流れがここに見て取れます。

 ここまで論じてきて、われわれの社会の将来ビジョンをどのように考えるかが問われていることに気が付きます。私は、未来社会では個々の家庭が自前で再生可能なエネルギをより効率よく生産し、節約し、よりエネルギーを身近に使い易いものに変えていくことが求められていると考えます。個々の家庭が必要なときに必要なだけエネルギーを炭酸ガスを排出しないで自分で作り出せる社会は素晴らしいと考えます。このような技術開発が強く求められるようになり、それに関連した産業が興り内需循環型経済が可能になる社会がビジョンとして描かれますし、それはそう遠い将来ではないような気がします。

 
65cm屈折望遠鏡
国立天文台三鷹にある65cm屈折望遠鏡です
性能はハワイにあるすばる望遠鏡や宇宙にあるハッブル望遠鏡には遠く及ばないので現在は引退しています。当時としては最高の性能でしたが技術は常に進歩するので役目を終える時期があるのは文明の宿命ですね。 

Recsat Hiromu



経済
  1. TPPをどう考えるか(4)(11/17)
  2. TPPをどう考えるか(3)(11/05)
  3. TPPをどう考えるか(2)(10/26)
  4. TPPをどう考えるか(1)(10/20)
  5. 内需循環型経済(6)(02/12)
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