FC2ブログ


タイトル画像

リーダーシップ(12)

2010.11.18(13:02) 30

           リーダーには自己犠牲が求められる 

 現代の日本人の中で最も優れた奉仕型リーダーの1人は石川島播磨重工や東芝を経営の危機から建て直した社長であり,経団連会長,国鉄などの民営化を実現した臨時行政調査会会長を歴任した土光敏夫であると思う.
 
 土光は理想的なリーダーであった.自分を犠牲にしても,「自分がやらなくて誰がやる」という信念で行動した奉仕型リーダーであった.奉仕型リーダーには自己犠牲が伴うが,その意味でも彼は理想的な奉仕型リーダーであった.無私,無欲,清貧の生活を送り,会社や国や次世代の国民のことだけを考えて行動している.社長や国の重要な役職に就いても,国鉄の電車で吊革につかまって出勤している.会社でも役員に一切贅沢をさせなかった.
 
 年収は5,100万円あっても,3,500万円は母親の創立した橘学苑(女子校)に寄付してしまい、税引き後の一ヶ月の生活費が5万円程度であったという.古い家に住み、自宅の庭で作った野菜とメザシを食べていた.しかし,寝る間も惜しんで国家・国民のために汗を流した.これぞまさにリーダーの理想である.
 
 土光のリーダーシップがなければ,われわれは今のサービスの良いJRは利用することができなかった.労働組合に支配され,自分たちの都合でたびたびストライキを実施しては迷惑をかけ,税金を湯水のように使って累積赤字を何十兆円も積み上げ,横柄な態度の国鉄職員に頭を下げながら,今だにわれわれは汚い電車を利用していたであろう.

 現代の政治家や社長に土光のようなリーダーシップと自己犠牲を求めるのは無理かもしれないが,リーダーの原点は忘れたくないもものである.

 会社を含めて組織は常に変革し続けなければ凋落し,崩壊してしまう.このような例を嫌というほどわれわれは目にしてきた.山一証券,そごう,ダイエー,三菱自動車,雪印乳業,不二家,日本航空…数えだしたら切りがない.
 
 変革は組織に十分な体力があるときにこそ行わなければならない.体力がなくなり,倒れかかった時に慌てて変革しようとしても遅いのである.

 変革の中で最も大切なのは,その組織の1人1人の意識変革である.自分のことしか考えない人ばかりになったらおしまいである.セクショナリズムや組合主義では部分最適化に陥り組織全体としては機能不全に陥ってしまう.全体最適化を考えて自ら行動する人が増えなければならない.

 現在の政治にそのようなリーダーがいないことが今の日本の悲劇である.自己犠牲を知らない政治家にだけ日本の国を任せていては日本の将来はない.われわれ国民がもっと積極的に意見や提案をインターネットで発信していかなければならないと考えますがいかがですか.

延暦寺

比叡山延暦寺の境内
国宝とは物質的なものではなく社会の
「一隅を照らす」ささやかな行為である
 という言葉が掲げてありました


   

Recsat Hiromu



タイトル画像

リーダーシップ(11)

2010.10.29(18:58) 29

           コストワールド対スループットワールド

今日はこのお話です.われわれはよく「安物買いの銭失い」ということをやってしまいますよね.お金は大切ですけれどお金に惑わされて本質を見失ってはいけません.お金より買おうとしているものの本当に必要な機能(目的)が大切なのです.安いものはそれなりに機能を削ってあります.そうしないと安くできないからです.分かっていても,買ってしまった後,使う段になっていろいろな不満が出て,結局折角買ったものを使わないという落ちが付いてしまいます.

 製造業でも似たようなことが起こります.コストです.何をおいてもコストの安い方が絶対良いという考え方です.同じ機能なら確かにコストは安い方が良いでしょう.しかし,機能を少し落として安くして売ろうという間違えをときどき見かけます.機能を少々落としても安い方が売れるだろうというわけです.ユーザーが少々不便を感じてもそれは知ったことではないというわけです.何かおかしいですよね.
 
 設備投資や機器を買う場合も出るお金を出来るだけ減らしたい.当然ですね.しかし,ここに落とし穴があります.機能が少々落ちても安いものの方が得だという考えて購入してしまい,後で肝心の機能が出なくて大変な問題になるというわけです.このようにお金,コストに囚われた判断をすることを「コストワールド」といいます.
 経営の基本方程式は,
    売上げ-コスト=収益 
です.この式で収益を増やすことが企業の1つの目的です.コストを減らすことではありません.コストをゼロに出来たとしても,売上げが増えなければ収益は増えません.収益が増えないと企業は落ち込みます.長い目で見ると,企業は常に右肩上がりで発展しないと凋落(ちょうらく)します.同じレベルに維持することは至難の業です.ある投資をしてコストが増えても,それによって売上げがそれ以上に増えれば良いのです.このような発想の世界を「スループットワールド」と言います.スループットとは生産量というような意味ですが,ここでは収益を指します.

 本質を見誤らない,ぶれない態度がリーダーに求められます.

   
芍薬

神代植物公園で撮影した芍薬です
 

Recsat Hiromu



タイトル画像

リーダーシップ(10)

2010.09.25(09:35) 27

                        情報

暫くご無沙汰して申し訳ありませんでした。今日はリーダーはどのように情報を扱わなければいけないかというい問題についてお話しします。

情報にはいろいろなものがあります。部下からの情報、友人からの情報、テレビや新聞などのマスコミからの情報などさまざまです。ここで注意したいのは情報を丸飲みにしてはいけないと言うことです。難しいけれども出来るだけ源の情報を見なければいけないと言うことです。

例えば、最近話題になりました、元厚生労働省局長村木厚子氏の冤罪です。検察の大本営発表に振り回されたマスコミが彼女を犯人扱いにして報道しました。これはわれわれ国民側の問題ではありません。マスコミ側つまり記者のリーダーシップの問題です。最近の内閣官房長官記者会見における記者の突っ込み不足、記事にするまでの調査不足がすごく気になります。発表元の情報をそのままうのみにして丸投げしているようです。

官房機密費なるものが噂になりましたが、この裏金が野党だけでなく、記者たちにも流れて懐柔されているのではないかという噂も聞きます。

科学技術の分野では、助手や部下に実験して貰い、その結果や情報をうのみにしてしまうと重要な発見を見逃してしまいます。必ず研究者は自分の目でその現象を確認しなければなりません。そうすると報告にはなかった思いがけない発見があります。大切なのは現場主義です。技術的な現場のトラブルも、報告された情報だけで判断すると対策を誤ることがあります。現場に出て自分の目で問題を確認してから解決策を検討しなければなりません。

組織の上でリーダーが部下からの報告に頼ることは多いと思います。その場合にもっとも注意しなければならないのは、良い情報しか上がってこない環境になっていないかと言うことです。とくに独裁的なリーダー(もしくは経営者)の場合周りにイエスマンだけが集まってきます。そうすると問題のある悪い情報は上がってきません。これは大変危険です。

例えば、2000年に起きた雪印食中毒事件です。現場を知らない経営者の石川哲郎が記者会見の席でイエスマンではない部下かから間違いを指摘されて恥をかいています。現場を知らないリーダーは組織を破綻させます。イエスマンばかりを自分の周りに置く危険はいくら言っても言い過ぎることはありません。リーダーは厳しい情報も上げさせなければなりません。

それに関して思い出されるのが中曽根内閣で内閣官房長官をされた後藤田正晴氏の有名な「後藤田五訓」です。彼は部下である内閣官房の各室長等に対して次の訓示を与えました。

一、省益を忘れ、国益を想え
二、悪い本当の事実を報告せよ
三、勇気を以って意見具申せよ
四、自分の仕事でないと言うなかれ
五、決定が下ったら従い、命令は実行せよ

どれもとても大切な指示ですが、とくに第2項の”悪い本当の事実を報告せよ”という言葉は今日のリーダーとしての情報の扱い方を教えるとても大切な言葉です。氏は「カミソリ後藤田」とも言われた人で、官僚の扱いをよく知っていてうまく使いこなし、仕事の成果を挙げましたが、同時に日本の将来についてのビジョンをしっかり持っていた素晴らしい官房長官でした。ぶれないで日本の国益を必死に守り抜いた政治家でした。今の民主党にそのような人材がいたら尖閣諸島のような問題は起きなかったのではないかと悔やまれます。

雲場池

軽井沢にある雲場池の秋の姿です
暑い夏もさすがに終わり秋の風を肌に感じます




 

Recsat Hiromu



タイトル画像

リーダーシップ(9)

2010.09.03(11:05) 26

                    リーダーシップ教育

 暫くお休みしていて申し訳ありませんでした。今日はリーダーシップ教育が必要であるというお話です。

 企業は経営が苦しくなると経費削減を叫びますが、真っ先に削減対象になるのが教育費です。むしろ経営が苦しい時にこそ教育に力を入れて、社員を活性化しなければなりません。社員の力を強めて、その力で会社を建て直さなければなりません。経費を削減するだけでは会社の将来はありません。その場しのぎで終わってしまいます。このような対処法を対症療法といいます。

 以前小泉元首相が改革を推し進めるときに、国民に痛みを我慢して欲しいとの趣旨で山本有三の「米百俵」の話が紹介されました。内容は、戊辰戦争の時、長岡藩が新政府軍に破れ、食べるものにも困っていたとき、越後の三根山藩が米百俵を送ってくれました。藩士はこれで暫く飢えをしのげると大喜びしたが、文武総督大参事の小林虎三郎はそれを売り払って、その金を学校の開設費用や書籍、器具の購入に投入してしまいました。藩士たちは怒って小林虎三郎に詰め寄りましたが彼は、「百俵の米も、食えば忽(たちまち)ちなくなるが、教育に当てれば明日の一万、百万俵となる」と説得しました。教育の大切さを良く認識しているリーダーだったわけです。

 今の経営者はどうでしょうか。目先の困窮を食いしのぐことしか考えられないようです。今の政治を見ていても同じ感想ですね。目先のこと、党利党略、権力争い、選挙のことしか考えられず、ビジョンのない場当たり的な政治をしています。日本の将来の百万俵のことは針先も考えていないように見えます。

 正しいリーダーに関するリーダーシップ論の基本も知らないリーダー(単に地位が高いだけの人)が多すぎます。小林虎三郎のような、上杉鷹山のようなリーダーを一刻も早く多数育てなければなりません。リーダーがしっかりしていないと、忽ち米百俵を食いつぶして、企業も、国も没落してしまいます。

鮎

リーダーシップ教育には関係ありませんが、
味覚の秋が近づいています。
鮎料理をお楽しみ下さい。
 
 

Recsat Hiromu



タイトル画像

リーダーシップ(8)

2010.08.23(09:14) 25

                    7つの満足要因

 ご無沙汰しました。今回は、人の仕事に下記に説明する7つの満足要因が含まれるとやる気が起きるという話です。これは子供の勉強でも同じです。

 鋳物産業はよく3K(汚い、きつい、危険)の代名詞のように言われてきました。 しかし、離職率が意外に低いことは知られていません。私が大学に在職中に私の研究室でその原因を調べました。そうしたら次の7つの満足要因が満たされていることが判明しました。

 1.多様性
 2.創意工夫
 3.主体性
 4.フィードバック効果
 5.興味
 6.技術習熟
 7.社会貢献
 
 「多様性」は扱う仕事の内容が変化に富んでいること。「創意工夫」はその仕事が作業者の創意工夫を必要とすること。「主体性」は自分自身の考えや計画で仕事を進めていく裁量権が与えられていること。「フィードバック効果」自分の努力や能力が仕事の結果に具体的に現れること。「興味」は作業者がその仕事に個人的な興味を持てること。「技術習熟」は経験を積み、努力するほど自己の能力が向上していくことが実感できること。「社会貢献」は自分の仕事が具体的なものを通して、実際に社会や自分の興味のある分野において役立っていることを確認できること。
 
 これらの7つの満足要因は以前お話ししたマズローの欲求の階層の最上位、「自己実現の欲求」を持たせる効果があると考えられる。従ってその仕事(お子さんの話であれば勉強も同じである)に動機付けをさせてあげるには、この7つの満足要因が重要になる。仕事や勉強をこれらの要因を満足するようにデザインし、指導してあげるとやる気をだすこと請け合いです。


Recsat Hiromu



リーダーシップ
  1. リーダーシップ(12)(11/18)
  2. リーダーシップ(11)(10/29)
  3. リーダーシップ(10)(09/25)
  4. リーダーシップ(9)(09/03)
  5. リーダーシップ(8)(08/23)
次のページ
次のページ