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中沢メソッドとは(8)

2010.06.24(15:02) 20

                   中沢メソッドの計算(最終回) 

 いよいよ中沢メソッドの解説は最終回に入りました。現在中沢メソッドは企業を対象に導入してもらっていますが、これからは個人向けの計算ソフトの販売も始めます。販売のアナウンスは来週以降に掲示します。
 
 計算例として下記の片持ち梁を用います。図のような負荷が掛かる軟鋼製の梁でたわみが少なく、質量の軽い断面形状を設計したいという問題です。つまりb1,b2,h1,h2の最適値を決めたいという問題です。たわみのデザインレンジは0.06mm以下、質量は2kg以下とします。
片持ち梁

水準を振って作成した直交表を以下に示します。各行の条件に対するたわみと質量の計算値が右端2列に示してあります。今回は計算値ですが、計算できないときは実験で値を求めます。一番下の行には上の九個のデータの平均値が示してあります。特に指定する目標値がなく、相対的により良いものを作りたいというときにはこの値をデザインレンジとします。
L9の直交表

  b1の最適値の求め方を解説しましょう。まずたわみに関して説明します。b1の水準を30、32、34と振りました。この各水準位置におけるシステムレンジを求めます。表中1列目(b1)の中に、30とい値は1、2,3行にありますから、この3つのデータ、つまり0.0887、0.0665、0.0514から平均値mと標準偏差σを求めます。b1が30の位置のシステムレンジの上の値は m + kσ として求まります。下側は m - kσ となります。kは一般に1で計算しますが場合によっては2.0ぐらいまで増やすことがあります。詳細は省略します。32、34のシステムレンジの値も同様にして求めます。そこで上側の3点を2次曲線でつなぎます。下側も同様です。
b1のシステムレンジ曲線

これをb1に関して100等分して各点におけるレクサットを計算し、それをつなぐと次に示すたわみに関するレクサット曲線が求まります。たわみだけならb1の値は34mmが良いということになります。
b1に対するたわみのレクサット曲線

 しかし、質量も軽くなければなりませんから、質量のレクサット曲線を求めます。それが次図です。質量に関しては、b1は小さい方がよいことが分かります。
b1に対する質量のレクサット曲線

 たわみも質量も両方を全体最適化するb1の値を求めるには以上2つのグラフを足して総合レクサット曲線(次図)を求めその最小値に対応するb1の値が公理から最適な値になります。この場合30.4mmがたわみと質量を総合的に考慮してb1の最適値になります。
b1に対する総合レクサット曲線

 他のパラメータの最適値も同様に求めると、b2 = 29.0mm、h1 = 66.0mm、h2 = 54mmとなります。このような計算やグラフ化は手計算では大変ですが、計算ソフトを用いると簡単に出来ます。以上の最適値で梁を作るとすると、その時のたわみは0.0570mm、と質量は1.733kgとなり、最初に設定した目標値を見事にクリアしております。
 いかがですか?素晴らしいメソッドだと思いませんか?経験と勘でエイヤッと決めていたり、良い値が求まらず試行錯誤、モグラたたきをやっていた従来の設計開発に比べて合理的で効率的なやり方であることがご理解頂けたのではないでしょうか。
 
 長い間辛抱強くご愛読下さりありがとうございました。

 この方法(計算ソフト)は日米で特許を取得していますので使用するには許諾が必要です。ただし、アカデミック分野で使用する場合は許諾不要です。

 今までに47社の企業に導入して頂き、活用して頂いておりますが、今後は大学研究室単位でソフトを購入して頂き、これを使って研究・開発のスピードアップを図り、かつ学生が社会に出たときにこの手法を思い出して企業として導入して頂けるようにしたいと考えております。

 その後で一般個人への販売も考えたいと思います。最初のご案内が少し変更になってしまいましたがご了承下さい。
花壇



  

Recsat Hiromu



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中沢メソッドとは(7)

2010.06.23(12:43) 19

                 中沢メソッドのプロセス 

 直交表に従って得られた実験結果や計算結果をレクサットで処理すると、複数の要求項目の全体最適化を測るように重要なパラメータの最適値が求まります。これがいわゆる中沢メソッドです。今日はまずどのようなプロセスで中沢メソッドを適用するかをお話ししましょう。次回に計算の理論を書きます。

 このメソッドは既に47の企業が導入して利益を出しています。利益を上げるだけでなく、皆さんの仕事の進め方にも変革をもたらします。従来の経験と勘で、当てずっぽの仕事の仕方を改善し、システマティックに、合理的・効率的に仕事を進められる新しい手順を理解することになります。

 実はこのメソッドは日米で特許を取っておりますので使用する際は許諾が必要になります。ただし、アカデミックで使用する場合は許諾不要です。またレクサット評価法も特許には関係ありませんので、評価法はどんどんお使い下さい。

 それでは中沢メソッドのプロセスをお話ししましょう。
 1.開発テーマ
   ・開発テーマ(以後システムと呼びます)を決めます。テーマは必ず明示します。

 2.機能的要求
   ・現在考え得る最良のシステムの設計またはプロトタイプの試作をします。
   ・そのシステムの機能的要求(FR)を決めます。そのシステムはどのような性
   能、機能、能力を持たせるのかを決めます。コストや必要であれば開発期限も
   含めます。
   ・FRが決まったらそれらの目標値であるデザインレンジ(DR)を決めます。中沢
   メソッドではDRが重み付けの機能も果たしますから、必要十分な値に設定
   しなければなりません。

 3.パラメータと直交表
   ・上記FRに最も影響を与えるパラメータを選び出します。この選定は重要です。
   重要なパラメータを見落とすと性能が得られません。性能に関係のないパラ
   メータを選んでしまうと実験や計算でそれだけ余分な手間が増えます。
   ・パラメータが決まったらその水準を3水準設定します。最初は最適と思われる
   値の上下に大きめの数値を設定します。
   ・この作業が終わると直交表がきまります。パラメータが4個以下ではL9という
   最小の直交表を使います。もしパラメータの数が4個を超え8個以下の場合は
   その上のサイズのL18という直交表を用います。

 4.実験/計算
   ・決まった直交表の各行にある条件の組み合わせで実験または計算をします。
   シミュレーターがあるときは実験に替えることが出来るので、早くコストを掛け
   ずに結果が求められるので好ましいが、シミュレーションの時は外部条件を
   変えて計算することが出来ないので注意する必要があります。例えばある製品
   の機能計算をしているときに、温度条件を室温とか40℃とかマイナス30℃変
   えて計算することが出来ない場合は、外部条件の影響が欠落してしまうことに
   なるので注意する必要があります。
   ・求めるデータは上記複数のFRに対応するものです。直交表の中ではFRを評
   価項目とうい名称を使うことがあります。

 5.レクサット
   ・データが得られたら、それから各評価項目について各パラメータの水準毎に
   レクサットを計算します。この計算の仕方は次回ご説明します。各パラメータ
   の水準毎にシステムレンジの上下の値が求まります。
   ・システムレンジの上側の3点を2次曲線で結びます。下側の3点も同様に
   2次曲線で結びます。この上下2本の曲線で囲まれた範囲がシステムレンジの
   範囲になります。
   ・一方デザインレンジの範囲は決まっています。上記システムレンジとデザイ
   ンレンジの重なり具合からレクサットが求まります。
   ・まずこれらの曲線を水準1から水準3まで細かく分割して各点におけるレク
   サットを求め、つなぐとその評価項目に対するレクサット曲線が求まります。
   これから市販する中沢メソッドの計算ソフトでは100等分してあります。
   ・全ての評価項目のレクサット曲線を合計すると総合レクサット曲線が求まり
   ます。この総合レクサット曲線の最小のところのパラメータの値が全ての評価
   項目を考慮して最適な値になっています。

 6.確認実験
   ・最適値でシステムを作り性能の確認実験・計算をします。この結果がデザイ
   ンレンジに収まっていれば、これで開発は成功裏に終了したことになります。
   ・もし性能が出なかった場合は重要なパラメータを見落としていないか、水準
   は適当であったかを調べます。もし、それでも落ち度がなかった場合はそのシ
   ステムの基本構造が適切でなかったことを示しています。その基本構造を棄却
   して別の基本構造を考えなければいけません。
  
 中沢メソッドは製造業のあらゆるプロセスやあらゆる産業分野で使用可能です。プロセスでは未踏技術の開発から製品開発、製品改良、生産の合理化など、また分野では機械、電気、通信、化学、農業、建築、土木、バイオ、食品、ソフトなど制限がありません。実施例は中沢塾のホームページをご覧下さい。
 http://www.nakazawajuku.jp/

 ここまでお読み下さりありがとうございました。お疲れさまでした。

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Recsat Hiromu



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中沢メソッドとは(6)

2010.06.19(20:13) 17

              レクサットを用いた全体最適評価  

 前回までの理論や公理を基にして簡単でかつ具体的な数値を用いて、新しい評価法を説明しましょう。ここでは自動車を燃費、加速性能、室内騒音の3項目で評価する例を示します。ここにあげるデータは1985年に実在した1000ccの車のデータです。A、B二つの車種の車でどちらがこの3つの評価項目を考慮して全体的に良いと判断できるかを見てみましょう。そのデータは下記の通りです。

評価項目  A車    B車
燃費[km/l] 12.4~24.6 11.1~21.9
加速性能[s] 4.7~15.9 4.3~14.4
室内騒音[phone] 45~68 49~71

ここで加速性能とは時速40kmから80kmに加速するのに掛かる時間を秒で表したものです。インターチェンジで一般道路から高速度道路に移行する時を想定した加速性能です。

 次にデザインレンジを決めます。仮に私が希望する車の性能が下表の通りだったとします。
  
   評価項目	  燃費[km/l]	  加速性能[s]	  室内騒音[phone]
 デザインレンジ  15.0以上   12.0以下   55以下

どちらの車がこの4つの項目を総合的に評価して、最もこの要求に適合しているかを例の総合レクサットと公理を用いて判定してみましょう。A車だけについて計算を示しますと下記のようになります。B車についてはご自分で計算してみてください。

  燃費: R1=ln((24.6-12.4)/(24.6-15))=0.24
加速性能: R2=ln((15.9-4.7)/(12-4.7))=0.428
室内騒音: R3=ln((68-45)/(55-45))=0.833

 総合レクサットはこれらのレクサットの合計ですから、A車の総合レクサットは1.501となります。同様にB車の総合レクサットは0.448+0.271+1.299=2.018となります。公理によると、総合レクサットはA車の方が小さいので、燃費、加速性能、室内騒音の3項目で評価するとA車の方が優れた車ということになります。こうやって全体最適の評価が出来ます。
 このほかにもいろいろ計算上のノウハウはありますが、基本は以上で理解できます。この全体最適評価の方法いかがでしょうか?おもしろい評価法であると感じられませんか?次回はいよいよ直交表と組み合わせた中沢メソッドについて説明しましょう。



  

Recsat Hiromu



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中沢メソッドとは(5)

2010.06.18(10:10) 16

                 全体最適化のための公理  
 
 システムでも家庭用品でも一つの評価項目だけで評価して結論を出すのは無謀です。よくやる失敗が「価格が安い」と言うだけで買ってしまうことです。後でこんな筈ではなかったと性能の出ないことを悔やんでも後の祭りです。システムはすべての評価項目全体を評価して良い悪いを決めなければなりません。つまり全体最適化が重要になります。しかし、それは分かっているといっても、実際に全体最適を定量的に評価できる良い方法がありません。

 みなさんご存じの点数評価法という方法があります。評価項目すべてを例えば10点法で採点して、合計点の最も高いシステムが最良であると評価する方法です。実はこの点数評価法は全体最適ではなく部分最適の評価法です。どれかの項目に非常に低い点(欠点)があっても他の項目の点数が高ければ結論は高い点数に引っ張られ、欠点が隠されてしまうのです。

 点数評価法にはもう一つ欠点があります。評価項目間に重要度の違いがあるとき(一般には常に重要度の違いがある)重み付けをしなければなりません。しかし、この重み付けはかなりいい加減なところがあります。この重み付け次第で結論はどうにでも変わってしまいます。

 レクサットを用いれば、これらの欠点のない、しかも全体最適の評価法が実現します。そのためには各評価項目毎にレクサットを計算し、それらを合計した総合レクサットを求めます。この総合レクサット値が最小のシステムが最良であると持っていきたいのですが、この仮説が合理的に、正しく見えても、証明できなければ意味がありません。

 これを証明するには、その前にこの証明に必要なことを証明しておかなければなりません。その前に証明しておかなければならいことは、さらにもっとその前に証明しておかなければならないことが出てきます。このような繰り返し作業は永遠に続きます。こんなことはやっていられません。そこで上記の仮説を正しいと認めてくださいという宣言をしたいと思います。それが公理です。もし公理に反する事態が生じる分野があればそこではこの公理は使えません。そこであらためて公理を明記します。

 公理「総合レクサットの最小なシステムが最良である」

 この公理を用いれば全てのシステムを全体最適評価できます。先ほどの点数評価の問題はどうなるでしょうか。欠点に関してですが、もしいずれかの項目に欠点があれば、その項目のレクサットは非常に大きな値になり、合計した総合レクサットも非常に大きな値になるので選ばれることはありません。つまり全体がバランス良く最適化されているシステムしか選ばれません。

 重み付けはどうでしょうか。この理論では重み付けは決してしてはなりません。証明は省略しますが、重き付けすると理論が崩れてしまいます。それでは重要度はどこで考慮されるのでしょうか。レクサットを計算するときにデザインレンジという目標値が必要であったことを思い出してください。重要な項目は目標値の設定が厳しくなり、したがってシステムレンジがデザインレンジから外れる傾向になります。そうなるとレクサットの値が大きくなるので、合理的に重みが付けられたと同じ作用をします。したがって、目標値を合理的に決めておけば、重みは合理的に考慮されることになります。

次回は以上の理論を具体例で説明しましょう。

 

Recsat Hiromu



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中沢メソッドとは(4)

2010.06.15(20:17) 15

              実際のレクサットの求め方

 前回はレクサットの説明をしました。しかし少々抽象的でしたね。今回は具体的に実際の問題のレクサットをどうやって計算するかということをお話ししましょう。

 まずレクサットを使ってシステムを評価する方法を説明します。評価する方法が分かればシステムのパラメータの最適値を決めるときに使えます。ある特性が最適になるようにパラメータを決めればよいわけですから。そこで自動車の燃費をレクサットで評価してみましょう。

ある車の燃費を例にとって説明しましょう。燃費の特性を確率密度で表そうとすると次図のようにいろいろな場合があります。ここで要求する範囲をデザインレンジと呼ぶことにすると、燃費はある値(この場合は18km/l)より大きければ大きいほどよいから、この場合図のような表示のしかたになります。
自動車の燃費

 この車の場合燃費は12.4から24.6[km/l]の間にばらつくとされているが、どのようなパターンになるかということは不明です。このパターンを表すのが確率密度曲線である。確率密度曲線とはある燃費の幅を考えたとき、この曲線とその幅で囲まれた面積が、その幅の中に燃費が発生する確率を表します。
 実際この車がどのような使われ方をするかは使う人によって、使われる場所によって、使う時期によって変わってきます。しかも、不特定多数に販売する商品の場合、ある特定の確率密度曲線で代表して開発してしまうと、それと違った使われ方をされた場合に良い結果が出ません。ある特定の確率密度曲線を用いると誤った評価をしてしまうことになります。したがってこのような場合にもっとも合理的な近似は次図に示すような均一な確率密度分布です。
自動車の燃費(一様確率密度分布)

 ここで性能のばらつく範囲をシステムレンジと呼ぶことにします。良い自動車を開発するということは、この性能のばらつく範囲であるシステムレンジが、すべて要求する範囲であるデザインレンジに入ることです。システムレンジがすべてデザインレンジに入ってしまうとコモンレンジはシステムレンジと同じ長さになります。
 この図をもとにこの車の燃費を評価してみましょう。以前のレクサットの定義式を思い出してください。最初の状態1の確率P1はシステムレンジの範囲の面積h×lSです。目標とする状態2の確率P2はコモンレンジの範囲h×lCです。このコモンレンジの範囲で運転されれば目標を達成できたことになります。これらを以前のレクサットの定義式に代入すると
    R=ln((h×lS)/( h×lC))
     =ln(lS/ lC)
=ln(システムレンジ/コモンレンジ)            (1.4)

となります。これがレクサットの近似式となります。上図の数値を基にレクサットを計算してみましょう。

    R=ln((24.6-12.4)/(24.6-18.0))
=ln(12.2/6.6)
=0.6144
となります。つまりこの車の燃費のレクサットは0.6144となります。
 システムレンジがデザインレンジに入ってしまうシステムが最良であり、システムレンジとコモンレンジの長さが同じになるので、割算の結果は1となり、その自然対数はゼロですからレクサットもゼロとなります。レクサットの値ゼロが最良です。
 またシステムレンジがデザインレンジから外れるほど分母のコモンレンジが小さくなるので、レクサットの値は大きくなります。完全に外れてしまうとレクサットの値は無限大となり、要求範囲つまりデザインレンジ内で運転することは実現不可能であることを意味します。値が大きくなるほど悪いシステムであり、実現可能性が確率的に低くなるのです。このように実際のシステムのレクサットを計算します。
 この概念でシステムを複数の項目で同時に評価するとき公理が必要になります。このお話を次回します。



 

  

Recsat Hiromu



中沢メソッド
  1. 中沢メソッドとは(8)(06/24)
  2. 中沢メソッドとは(7)(06/23)
  3. 中沢メソッドとは(6)(06/19)
  4. 中沢メソッドとは(5)(06/18)
  5. 中沢メソッドとは(4)(06/15)
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